映像や動画の著作権とは?映像制作会社に依頼した場合の著作権の帰属先

映像作品を含む著作物には著作権が発生することを、映像制作に関わる人はもちろんのこと、依頼する側の個人や企業も理解しておくことは大切です。

動画マーケティングが当たり前になった近年では、企業や個人の依頼を受けて動画制作や編集を行う映像制作会社が増えていますが、依頼者と受託者のどちらに著作権が発生するのかについて確認しておきましょう。

映像制作の著作権

映像制作会社に依頼する動画や映像について著作権を持つのは誰なのか把握することは重要なことです。そのためにはそもそも「著作権とは何なのか」「著作権が発生する著作物とは何なのか」を自分で理解しておく必要があります。

ここからは映像制作の著作権について理解するために基礎となる事前知識について紹介します。

著作権とは

著作権は知的財産権の中の一つであり、著作物や作品を保護するための権利です。日本弁理士会によれば、著作物とは以下のとおりです。

著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。

著作権は著作権法という法律によって認められた権利であり、著作者の文化的創造物を守ることで文化の発展に寄与することを目的としています。特許権のように取得に際して申請手続きや登録は必要なく、著作者が意識しなくても、著作物が完成した時点で自動的に発生します。著作権によって保護される著作物は他人が著作者の許諾なく無断で利用したり、複写することは認められていません。著作権侵害と認められると、利用行為の差し止めや損害賠償の請求等を受ける可能性があります。また、著作権を侵害すると刑事上の罰則の対象になり、罰金が課されます。これらは意図しなくても程度によってはトラブルのもとになります。

動画の著作権

著作物には小説、音楽、絵画、地図、アニメ、漫画、映画、写真、楽曲、映像資料など私達の身の回りの多くの種類のコンテンツが含まれます。映像や動画も著作物であり、著作権が認められています。

したがって、個人がスマートフォンで撮影した動画や企業が商用CM用に制作したプロモーションビデオ、インターネット上にアップロードされたコンテンツも著作物として認められています。

さらに動画や映像を制作する上で利用したイラスト画像やBGM、歌詞、キャッチコピー、関連キャラクターなどもすべて著作物とみなされています。ただし、フリー素材はダウンロードしても違法となる著作権侵害の例外となります。

映像制作会社に依頼した場合の著作権は誰にあるのか?

今日では動画マーケティングが普及し、個人や企業の違いなく、広告宣伝や採用活動、その他の事業活動のために動画や映像を用いることが一般的です。これらの動画や映像はプロのクリエイターを有する実績豊富な映像制作会社に依頼されます。ここで、問題になるのが映像制作会社に依頼した場合の著作権の所在です。

結論から言えば、著作権は動画や映像を制作した映像制作会社に帰属します。

著作権法第29条では、「映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。」と規定しています。

また、同法第2条では映像制作者について「映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。」と規定しています。

公益社団法人映像文化製作者連盟によれば、ここでいう「発意と責任」とは、単にその映像を作ることの「発意と責任」ではなく、その映像の著作・創作行為についての「発意と責任」のことを指します。したがって、たとえ映像の制作過程で依頼主が企画や構成案について一定の発案をしたとしても、その映像の著作・創作行為についての「発意と責任」が映像製作会社にあれば、著作権は、製作者製作会社に帰属します。

映像や動画の著作権を依頼者に譲渡する方法

個人や企業が映像制作会社に映像や動画制作を依頼した場合には著作権は映像制作会社に帰属することについて解説しました。しかし、著作権が映像制作会社に帰属したままでは、依頼者が著作物を使用して事業活動をする時には毎回映像制作会社に利用の許可をもらわないといけません。したがって、完成した映像著作物を円滑に利用できるようにするために、実務上は映像制作会社から依頼側に著作権を譲渡する契約が締結されます。

著作権法第61条では、「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。」と規定されています。同法の規定に従って、映像や動画制作を依頼する時点で依頼者と映像制作会社の間で著作権譲渡契約を締結します。ちなみに映像制作業界では、成果物の譲渡について「買取」という言葉が使われてますが、買取の解釈は会社によって異なるので、契約書で譲渡契約について詳細を決定する必要があります。契約書に最低限記載すべき事項は以下のとおりです。

 

  • 著作権の帰属先(依頼者)
  • 映像の使途
  • 映像の利用期間
  • 映像の利用範囲
  • 譲渡価格

 

譲渡価格については映像制作費用の10〜30%が参考となる相場となっているようです。割高に感じるかもしれませんが、著作権を買取することで、ビジネスで有効活用することができます。

まとめ

この記事では、著作権の基本や著作権が発生する対象物、そして映像制作会社に依頼した場合の著作権の帰属先について解説しました。

著作権については自由に買取を認めていない映像制作会社もあることが注意点です。あくまでも買取を許可している映像制作会社に限り譲渡契約が締結可能です。したがって、ポイントは著作権の譲渡契約になります。また、依頼する場合には著作権譲渡費用を含めて、費用を計算することも必要になります。また、著作権や商標、肖像権、罰金等に関する最新情報を確認しておくと安心です。

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