スマートフォンが普及し、YouTubeやネット配信が流行している昨今、SNSで動画をアップロードする人が増えています。簡単な操作で動画編集が可能なアプリやソフトも登場し、利用している人も多いでしょう。比較的簡単に自分で動画作成ができるので「将来的に動画編集を仕事にしたい」と考える人も増えています。
文字や写真と比較すると、圧倒的に情報伝達効果が高いために、webでホームページを開設している企業では積極的に動画を導入しています。動画による、顧客拡大や顧客増大の実績も認められていますので、情報を確実に発信する手段として有効であることがわかっています。
個人でSNSにアップして楽しむ動画編集とは違い、プロとして企業のマーケティングに導入する動画を作るには、正しい知識が必要です。実際に映像制作の仕事がどのような流れで行われているのか、複数の制作工程別に担当者がいるのかなど、知らないことの方が多いのではないでしょうか。
将来的に、動画の制作会社で働きたい、動画編集の担当者として働きたいのであれば、基本的な映像の作り方や手法について、理解を深めることが重要です。本記事では、実際にプロが行っている映像制作の基本的な手順、情報を企画としてあげてから編集・公開まで一連の流れを徹底解説します。また、初めて映像制作に携わる方にもわかりやすく、注意したいことやメリットなども合わせて説明しています。
とくに映像制作に興味がある、動画制作の媒体に携わりたい方にとっては、ビジネスにおいてのワークフローを知っておくことが大切ですので、しっかりと頭に入れておいてください。
映像制作の「手順」がなぜ重要なのか?
映像制作は依頼をもらって始められる仕事です。依頼や相談を受けてから、クライアントと制作会社との間で話し合いを重ね、企画や構成を練り、具体的な方向性を組むといった工程があります。単に撮影と編集をして終わりではなく、手順を意識して制作を進めていくことが重要です。トリミングや画面の編集を行い動きを確認出来たら、クライアントに届けて納品となります。
個人で楽しみたい場合には、著作権に注意してアドリブを入れたり自由に動画制作できますし、YouTubeやSNS、その他動画配信サービスにアップすることもできます。同じ動画を1つ作るにしても、自分でノウハウを学んで進めていくだけですから手順を気にする必要はありません。気軽に、YouTubeやその他動画配信サービスにアップしたりできます。
仕事として映像制作に取り掛かっていく際には、企画所に定められた通りに手順良く進めていくことを意識することが欠かせません。クライアントが希望するタイトルで、動画で紹介する製品をアピールしたり、顧客のインタビュー内容をあらゆる角度から精査し、十分に印象を残せるような動画を考えて作らなければいけないからです。
構成やシナリオが固まってないまま撮影に臨むと、クライアントの要望やイメージとはかけ離れた動画になってしまいます。
初めて見た人にも印象が強く残るような動きのある画面にしたり、具体的に分かりやすい内容で、次も見たくなるようにするには、以下に解説するような手順で、映像の制作をしていくことが大切です。
映像制作の6つの手順
それでは、映像制作の仕事の手順について、それぞれの工程を詳しく見ていきましょう。
一般的には、下記の6ステップで行われています。
最初の3つの工程で、クライアントの希望や制作金額などを話し合っておきます。
1:ヒアリングするヒアリングする
2:企画・構成を作成する
3:コンテを作成する
4:撮影する
5:動画を編集する
6:公開する
それぞれ詳しく解説します。
1. ヒアリングする
映像制作は、撮影して動画を編集するだけと思われているかもしれません。
実際のところは、撮影や編集に取り掛かる前に、制作会社に依頼をしたクライアントと、作品に関する話し合いをしたり企画を練ったりします。動画の長さやタイトル、具体的にどんな顧客に届けたいのか、webに固定するのかもこの段階で決めます。
動画制作のコストを考えて、動画や形式、表現方法などから使える企画を固めていくことも可能です。実際に掲載された例から、相場や価格が明確に設定されているところもあるので十分に話し合いましょう。
ヒアリングの注意点として、「動画を作る目的や伝え方」を明確にすることが重要です。「初心者向けにわかりやすく」「製品の使い方」や「おすすめを紹介」して商品を購入してもらうなど、動画の方向性を明確にして考えていきます・
また、視聴者の確保のために、いつどうやって「どこに」掲載するかも考えなければいけません。
そのため、視聴者の反応を想定し、クライアントのイメージしている作風や、動画を通して伝えたいことなどを入念に打ち合わせます。目的によって、動画の長さや、適切な表現の仕方が変わってきますので、クライアントと認識のズレがないように進めることが大切です。
配信媒体が、公式サイトなのかSNSを利用するかによっても、映像に必要な要素や長さの程度が異なります。媒体が決まっている場合には、より具体的な提案ができるでしょう。また、関連する媒体で映像を使うことで、より効果の高い宣伝効果が見込めます。そのあたりも、ヒアリングの中で提案していくべき事柄です。
クライアントとのコミュニケーションが、作品の出来を左右すると言っても過言ではありません。この最初のプロセスで、作品のクオリティは大きく変わります。
広告のターゲットについてはもちろんですが、制作料金の相場・予算・費用の見積もり、納期などについて話し合いながら、プロとして最適な提案をする大切なプロセスです。
2. 企画・構成を作成する
ヒアリングした内容をもとに、企画を立てます。
企画書として文章にまとめることもあれば、ざっくりとラフ案を提出するなど、細かく分けて使える企画を提出します。
構成をあらかじめ設定することで、おおよその完成形イメージをクライアントと共有し、いくつかの種類を比較することで「掲載したい」動画を選んでもらうのです。
この段階で企画・構成を組み立てることなく制作に取り掛かってしまうと、クライアントの望まない作品ができてしまう事例も少なくありません。
動画制作は、いきなり撮影・編集に入るのではなく、あらかじめ企画を決めて、映像の骨組みを作るのです。
企画に合ったコンテンツを作るためには、媒体によって撮影場所を変えることもあります。スタジオでの背景はどうするのか、外での撮影はロケハンが適しているのかなども構成の内で考えます。
また、どのような素材(モデルなどの人物や背景)が必要なのかなど、検討するべきことはたくさんあります。
企画の段階には、映像制作にかかる期間やスケジュールを設定したりと、事務的な作業も含みますので一番時間をかけるべきポイントになります。
3. コンテを作成する
企画ができたら、動画の撮影に入る前に、「コンテ」を作成します。コンテとは、シナリオをもとに作成された、実際の撮影におけるセリフや動作、撮影方法などが示された指示書のことです。
動画の設計図、あるいは台本のようなもので、イラストによる表であることが多く「絵コンテ」とも呼ばれます。
コンテを作成するためには一度、映像のシナリオが完成していなければなりません。
このコンテをもとに、セリフや動作を入れて、実際の撮影に入ることになります。
4. 撮影する
打ち合わせ・企画・構成・コンテ作成と数々の準備を重ねて、やっと撮影に入ります。当然ですが、撮影にはカメラをはじめ、三脚などさまざまな機材が必要となります。
本格的な現場では、舞台をセッティングしたり、照明を操作するためにたくさんのライト機材などが用意されるでしょう。
また、人物を入れた合成動画を撮影する場合には、グリーンバックを背景にして動画を撮影しますので、その準備も必要になります。
クライアントの依頼内容から事前に作成した、映像制作の設計図となるコンテの流れに沿って、カメラマンが撮影を行っていきます。
場合によってはいきなり本番撮影を始めるのではなく、テストで撮影を行ってみたり、何度も撮り直したりすることもあるのが映像制作をスムーズに行うコツです。
5. 動画を編集する
撮影・収録が完了したら、クリエイターの手によって動画の編集が行われます。
撮影した映像をパソコンに取り込み、事前に打ち合わせした企画書に合わせて、動画編集ソフトを使って映像を完成させていくのです。
動画編集の過程では、具体的には以下のようなことを行っています。
- 不要なシーンのカット
- セリフに合わせた字幕・テロップの挿入
- BGMや効果音、エフェクトの追加
- ナレーションなど音声を入れる
- 再生時間の調整
上記が完了したところで、映像の「制作」に関わる部分は終了です。
BGMに使用する曲や差し込む画像などの素材を、無料で提供しているサイトから探すこともあるでしょう。制作したコンテンツに、著作権を侵害するような音楽や写真が使用されていると、後で大きな問題になるケースもあるので、しっかり確認します。
6. 公開する
動画編集を終え、ミスがないか入念にチェックした上で、制作した映像コンテンツを公開します。
あるいは、クライアントに確認してもらい、納品という形で映像制作のお仕事が完了することとなるでしょう。
満足のいかない場合には、納期までに修正ポイントの編集を行ったりします。
私たちが日頃見ているテレビ番組やCM、Webサイトのネット配信やYouTube動画といった映像は、おおよそ以上の手順で制作が行われています。
映像制作の手順まとめ
今回は映像制作の手順について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
映像制作といっても、個人で楽しむだけの場合と異なり、撮影して編集するだけではありません。
本記事で紹介してきたように、映像制作では、ターゲットとなる視聴者に訴求するため、事前に細かい打ち合わせをしたり、企画書やコンテを練ったりと、さまざまなスタッフの手によって多岐に渡る業務が行われています。
事前の企画は、「何を作るのか」「どんなメッセージを伝えるのか」「具体的にどんな計画で制作を進めていくのか」といったことを明確にしていく重要な過程です。
たとえ映像制作を個人で行うとしても、株式会社・企業で行うとしても、スムーズな進行のためには、事前に構成やシナリオを詰めておくことは欠かせません。
この記事が映像制作に興味のある方の参考になり、クリエイターを目指すことに役立ちましたら幸いです。