映像制作を業務委託したい…と思ったものの、アウトソーシングする際の具体的な流れに関する情報が少なく困ってはいませんか?
文字や画像に代わって動画が主流な伝達手段になりつつあり、2022年にはマーケティングツールとしても動画が広く活用されるようになってきました。ホームページのtop上やSNSに動画の広告(Web CM)を積極的に掲載することで、より多くの情報を提供できるというメリットもあります。
そういった背景もあり、昨今は個人ビジネスや企業の事業として動画コンテンツを制作したい方が増えています。ところが「コストはどれくらいなのか、本数は必要か」「具体的に何をすればいいのか分からない」「映像に関わりのない初心者で大丈夫なのか」と心配な担当者も多いのが現状です。また、ダウンロードして運用してもらえるようにするのかなど、動画にもいろいろな役割とスタイルがあります。
企業をアピールする、ガイドブックとして新規顧客を獲得するためには、説得力がありiconとしてもインパクトが強いものが必要です。
このことからも、映像制作を専門的なスキルを持つ業者に代行して外注・委託で作ってもらうケースも珍しくありません。
そこで本記事では、映像制作を委託する場合における、確認すべき3つのポイントを紹介し、加えて委託時の注意点についても解説します。
動画制作の契約に伴うトラブル
権利に関わる重要なことが多く、知らないとトラブルが発生するリスクも想定されますので、ぜひ以下を確認しておいてください。
法律に関することなどはわからない・難しいと感じるかもしれませんが、制作側が知っているだろうと判断を任せきりにせず、発注者も作り方や内容を把握しておくことが大切です。
動画制作の契約に関して、知っておきたい4つのトラブルを解説します。契約書を作成する際に、揉めることのないように要注意なpointをまとめています。
著作権・使用権に抵触していた
動画の中には、BGMや効果音、写真・イラストやキャラクターなどさまざまな素材が使用されることがあります。基本的には、webから商用可能で無料な素材を探し、撮影から使用する素材まで全てオリジナルで用意しておきます。
万が一、制作者が無断でフリーではないmov・dvd素材をダウンロードして利用し、絵コンテやコンテンツを作成したことが納品後にわかってしまった場合、企業サイドが知らなかったとしても著作権のトラブルに発展してしまう可能性があります。
著作権は、著作者や素材そのものが有名か無名かは関係なく発生するもので、権利を持つ人の承諾を得ることなく作品を使用することはできません。著作権の他に、商標や肖像権等を侵害していないことを確認することも必要です。
また、ネットの記事などは該当箇所を変更することで解決できる場合もありますが、公開した動画の場合は削除が必要です。
制作会社に丸投げし、絵コンテをチェックをしないままに進めてしまわないように、担当者は具体的な内容を細かくやり取りし、著作権問題に徹底して細心の注意を払うことが大切です。
制作物の権利がない
動画の著作権・使用権(使用条件・使用可能範囲)に関する契約は、契約書の中で最も盛り込まれている項目です。
動画は、依頼者が構成などに関わっており、費用を負担して制作制作したとしても、映像制作会社が著作権を持つことがほとんどです。つまり、納品された動画を依頼者が自由に使ってはいけないのです。
企業サイドは「費用を支払っている」側ですが、法律ではクリエイター・制作会社に帰属する部分が多くなっています。
特に多いのは、当初予定していた用途と違う形で使用する場合です。例えば、制作当初は「公式サイトに掲載する」として発注したにも関わらず、LPページやイベントなどに無断で使用した場合です。
契約書の内容にもよりますが、「一つの動画は決められたサイトで使用すること」「SNS投稿はTwitter、Instagramのみ」「Facebookには使わない」など規定が入る場合があります。「同じSNSだからいいだろう」と使用してしまうと、後々にもめる原因となりますので要注意です。
制作物の著作権に関しては、契約書に明記されます。制作した動画を「どのように利用して良いのか」「どの媒体で公開して良いのか」「2次利用は可能か」ということを契約段階で明確にし、必ず確認したうえで同意するようにしましょう。
著作権の侵害は刑事上の罰則の対象になるため、意図して行ったものでなくても程度によってはトラブルのもとになります。
使用範囲の項目は必ず確認し、お互いに納得できるように話し合うこと。どこまで合意範囲で動画を使用できるのか、範囲外の使用で追加料金が発生するのか契約書でハッキリ残しておきましょう。
イラストを使ったアニメーションの動画契約にも注意が必要です。公式サイトに使う場合には問題がなくても、人物の色を変更したり、大枠は他の動画に使うことはできないなど、細かい規定があるケースも少なくありません。
特にイラストレーターのオフィシャルキャラを使用するケースでは、販促物に利用する場合には追加料金がかかることがあります。これらは事前に確認しておきましょう。
実写で動画撮影する際には、役者やモデル、キャスト、アニメーションを担当するイラストレーターの競合排除についても確認しておきましょう。「契約期間中は発注者とライバル関係にある他社の仕事をしない」という契約を競合排除といいます。
競合に、同じタレントやモデル、役者をアサインされたくないのであれば契約書に競合排除の記載が必要です。
請負契約していない
一般的に映像制作の業務委託は「請負契約」になります。
請負契約とは、仕事の完成を目的とした契約のことです。今回の動画制作でいえば、「動画コンテンツの完成・納品」をクライアントに行うことで契約が完了します。
業務を請け負った者(制作会社)は、クライアントから請け負った仕事を完了させることを約束として契約します。もし動画を完成させなかったり、依頼内容と全く異なる制作物を納品した場合には、報酬を受け取ることができないのです。
これは民法第632条で定められていますので、規則に関連する詳細を双方がしっかりと理解し、契約書をよく読んでおけば納品までがスムーズになります。
「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。(民法第632条)」
映像制作を委託する際に確認すべきポイント3つ
まずは映像制作をフリーランスや映像制作会社に委託する場合にチェックしておきたい基本ポイントについてまとめました。
チェックしておくべきことは、下記の3つです。
- 費用・予算
- 納期
- 仕様書の制作
それぞれ詳しく解説しますので、映像制作を外部に発注する際に参考にしてみてください。
費用・予算
映像制作を委託する場合、どのようなフローで企画から納品までが行われるかは、別コラム「映像制作の手順とは?企画から動画編集・公開までの一連の流れを解説」で解説しました。
費用の見積もりは、ヒアリング後にコンテンツ内容と共に提案されるのが一般的です。動画制作は企業とプランナーが話し合い、専門的な知識を元に企業が求めるコンセプトを盛り込んだ動画企画を立案します。企業側は目標数値を設定し、できるだけわかりやすくコンセプトを伝えることが大切です。
話し合いが終わればプロジェクトが立ち上がり、ディレクターを中心に絵コンテが作成されビジュアルが明確になっていきます。それから撮影となりますので、多くの人が映像制作に関わることになります。
動画制作には撮影や編集以外にも人件費・諸経費、場所代が多くかかるので、費用も高額になりがちです。契約を締結する前に見積を出した金額について、はっきり双方が納得をしておかないと一括で請求した後に「高すぎる」といったトラブルにつながりかねません。
映像制作会社やフリーランスを探し依頼する場合、そのホームページやクラウドソーシングなどのサイトのプロフィールを確認しましょう。「おおよその制作費用」が明記してあると安心です。依頼先を探す際には、事前に相場を調べて比較してみるのもいいでしょう。また、急ぎで作りたい、回数を多く24時間流れる動画にしたい場合には、特にコミュニケーションが重要です。
ただし、金額が高いからといって必ずしもクオリティが高いとは限りません。また、格安だからと安易に選んでしまうと、後から高額な金額を請求をされるケースもあります。価格とクオリティのバランスがよくない制作会社はおすすめできません。webサイトなどで経験や実績の有無・強みや進め方を確認し、自社(自分)のニーズに合った相性の良い依頼先を選定しましょう。
例えば、「動画公開後の分析やコンサルティングなど、サポートまでワンストップで依頼したい」のように、担当者に映像や動画の知識がまったくない場合。「自社のデータや資料をもとにアニメーション制作をお願いしたい」「モデルや役者を起用して商品紹介のCMを作成したい」「シナリオはライターに頼みたい」のように具体的な企画が決まっている場合では費用も異なります。
また、「自社のデータや資料を要素にアニメーション制作をお願いしたい」「ナレーションや動画編集など、一部の作業だけ専門の知識や技術を持ったプロに依頼したい」。「イメージはあるけれど、どう進行すればいいのかわからない」など、動画のジャンルや種類のほか、用途や目的によっても予算は大きく変わってきます。
映像制作は「実写映像」「アニメーション映像」に分かれ、制作の流れがそれぞれ異なります。成果物に求めるクオリティやスケール感などによって、コンサルやコンシェルジュなど、関わるスタッフの人数や、カメラやドローンなど使用する撮影機材も異なってきます。
自分たちが作りたい動画は、どのようなものかを説明して内容をきちんと明確にした上で、予算とすり合わせながらこだわりを絞り込んで相性の良い制作会社を選びましょう。また、予算を抑えたいのであれば、見積りは発注者と制作担当者同士がしっかりキャッチボールし、意思を疎通させておくことが肝心です。
自社の近くにある制作会社を知りたい・どこに頼めばいいか分からない担当者も多いと思います。リモートがメインになっているとはいっても、初めての発注は顔を合わせての打ち合わせが安心です。
業者紹介サイトの一つ「アイミツ」では、コンシェルジュが仲介し、ユーザーと専門業者のマッチングを行います。全国の業者がそろうので、闇雲に探すより、自分たちが作りたい動画にピッタリの業者をコンシェルジュが探してくれるのでマッチング率も高くなります。一括見積りが最短で翌日に揃いますので、素早く質の高い有料な業者を選べます。シミュレーターがあり、いくつかの項目に答えると、動画制作・映像制作の概算費用を算出できます。
アイミツでは毎年「アイミツアワード」を発表しており、2021年・2022年の受賞企業の中には、映像編集の会社も多く受賞しています。東京都だけでなく、愛知県・大阪府・神奈川県・福岡県と全国の大都市の企業が活躍していることがわかります。このようなサイトを通し、自社のコンセプトにマッチした制作会社を差別化することで選びやすくなるでしょう。
映像づくりドットコムでは、「料金の目安」というページで制作にかかる料金を記載していますので、直接お問い合わせいただく前にも予算を検討いただけます。もちろん、不明な点は電話・メールでお気軽にご連絡ください。
期間・納期
費用の見積もりを指示書で出してもらう際には、納期も併せて採用した制作会社と相談して決めます。最近は「納期が早い」「最短で仕上げ」をアピールする映像制作会社も増えており、早く成果を出したい、費用を安くしたい企業にとっては魅力を感じることもあるでしょう。
ただし、納期が早いだけで選んでしまうと思っていたようなサービスが受けられなかったり。準備に時間がかかるだけでなく、中途半端な内容で費用だけがかかってしまうケースも少なくありません。
映像制作には、流れがありますので作るのには時間がかかります。企画・構成から始まって、セッティング・撮影・編集を経て製作される場合には、1〜2か月ほどかかるのが一般的です。リアリティや内容にこだわると修正も増えますので、納期に間に合うのか心配になってしまいます。
このようなことがないように、早めの相談がおすすめです。また、急ぎで依頼する場合は、追加料金が必要になることもあるので確認しておきましょう。
不要なトラブルを避けるため、スムーズにプロジェクトを進行するためにも採用・契約前に納期についての話し合いをしっかり行い、映像制作にかかる期間やおおまかな工程・スケジュールを把握するようにしてください。また、イメージをとらえているかを確認するために、サンプルを提出してもらう期間も加味しておくと良いでしょう。
イベントで使いたい・企業説明会や商品紹介・リリースで利用したいなど、納品が遅れてしまうと問題が発生することもあります。納品日時はきちんと定め、小さなことでも契約書に記載しておきましょう。
仕様書の制作
仕様書にまとめる要件は、具体的に下記のような内容です。
- 映像制作の目的(リクルート・ブランディングなど)
- 企画概要
- コンセプト
- 動画タイトル
- 公開する媒体(テレビ・youtube など)
- 動画の公開日
- 予算
もちろん、上記以外で必要な項目があれば必要に応じて書き足してください。
仕様書は、依頼者と制作者の間で動画コンテンツのイメージについて正確に意思疎通するために書き残し、提出する重要な書面です。
仕様書には動画制作の目的はもちろんのこと、動画の内容に関するすべてを記載します。自社がイメージする豊富な構想は、事細かに書き出し言語化することが大切です。言葉にして書き出すことでアイデアが具現化していきます。動画制作の目的を言葉にすることで、作る内容がはっきりし動画の方向性が定まりやすくなります。
例としていうと、映像制作を依頼する時に「なんとなくカッコ良いmp4や音源を入れた感じで、Twitterでバズりそうなものをお願いします」。「instagramのムービーでシェアしてもらえるようなオシャレな感じにしてください」「プロモーションビデオ風に」と頼んだとします。
漠然としたイメージでは、企業のコンセプトや完成度の高い目標を表現することはできません。手間をかけてもわからないまま作られた動画では、真意が伝わらないからです。とくに、自社の特徴をしっかり掴み、コミュニケーションをとって形にしておくことがプロジェクト成功のカギとなります。
ターゲットは家族なのか、男性・女性どちらなのか、ペルソナをハッキリさせます。
動画の尺は30秒や60秒の短いものなどもチェックしましょう。。また、地域を限定してインパクトのあるものを作るには、尺が長いだけでなく共感を得られるものであることが大切です。特に商品紹介や店舗紹介では、アイデアを盛り込んだシナリオの内容で、目標以上のレベルの動画が完成するでしょう。
出演者は社員を使うのかモデルを使うかも考慮すべきですし、印象も異なります。ロケが必要にな動画になると、予算にも響きます。また、動画は1分でも超えてしまうと、イメージ通りに仕上がらなくなります。
動画制作の要件定義を仕様書で明文化しておくことで、曖昧なイメージを排除し発注後のトラブルを防ぐことができます。ヒアリングでのやり取りだけでは、イメージ通りになりにくく、納品後に「イメージが違う」「台本にはなかった」などのトラブルが起こりやすくなります。
問題を起こさない・トラブルになった際に、お互いの言い分をハッキリさせるためにも、仕様書はなくてはならないものです。
動画を届けたい相手の性別や年齢はもちろんですが、目的やpointをはっきり絞ってプロジェクトを企画しないと曖昧で中途半端なものしかできなくなります。肝心な自社の魅力を言葉にする、顧客に対して信頼性を高めたい場合には、それにマッチしたフォーマットが必要です。
動画制作の初心者である担当者が、プレゼンすることは難しいことです。ターゲットが男性と女性では感性も異なりますので、アプローチの仕方にも工夫が必要になります。また年齢層によっても、動画の見せ方や伝え方、リズムを変える必要があるでしょう。
自社の認知度アップを図るのが目的なのか、商品の購入やwebサービスへの登録などアクションを起こして欲しいのかを、企業のコンセプトとして決めておくことが大切です。そうすることで、担当者もイメージを考えやすくなりプレゼンで発表しやすくなります。
目的によって訴求ポイントは違いますし、最適な媒体も異なります。全国に向けて放映したいのか、特定の地域など範囲を限定して配信したいのか、言語は日本語のみで制作するのかなどもターゲットや目標に合わせて大まかで良いのである程度決めておきましょう。
動画でアプローチするターゲットやメッセージを伝え、どのような効果を得たいのかなどを明確に仕様書に記しておきます。制作動画に関するおおよそのイメージや表現、コンセプトなどを共有すれば、適切な尺の長さや形式が提案されます。希望する形式や工程が記載されていれば、最終的に納得できる長さのコンテンツを納品してもらえるでしょう。
再生してもらう回数を増やすためにも、全体の方向性を担当者がザックリと把握しておきましょう。セリフや声をスクリーンに入れたりも、スタッフやディレクターと一緒に設計図にするのがおすすめです。
【映像】
乙(制作会社)は、完成した本映像の複製物を、次に定める期日までに、甲(発注者)の定める場所において納入するものとする。
納入期日:____年__月__日
乙(制作会社)が完成した本映像を前項の納入期日までに納入できない場合は、速やかに甲(発注者)に連絡し、その対処方法について別途協議するものとする。
【動画】
乙(制作会社)が甲(発注者)に納入する、完成した本映像のフォーマットは次のとおりとする。
・MP4 ___分 ___本
・DVD ___分 ___本
(その他) ___分 ___本
配信用のデータ、自社の記録・保管用としてDVDなどの納入を希望する場合には、契約書に盛り込まれているか確認してください。
映像制作を業務委託するまとめ
今回は映像制作を業務委託する場合に確認しておくべきポイントと注意点についてまとめました。
映像制作を委託する際にチェックしておくべきことは、「予算」「納期」「仕様書」の3つです。
料金や納期は、実際に契約を結ぶ前に委託する側とされる側双方でしっかり確認しておくこと、制作する映像の使用目的や作品のイメージに関する要望などを共有しておくことが必要です。
加えて、注意すべきポイントは「契約」「素材の権利」「制作物の権利」でした。
映像制作の契約は一般的に「請負契約」であり、「動画コンテンツの完成・納品」をもって契約完了になります。依頼する側と請け負う側双方が契約書をよく読み理解・合意することが大切です。
動画に使用する素材の著作権にも注意が必要です。著作権フリーではない素材や商用利用不可の素材が使用されていたことで、大きなトラブルに発展した事例も多数あるため、しっかり確認しましょう。
また、制作された動画の著作権は制作した側にあることがほとんどなので、公開可能なメディアや使用方法などの条件は、契約時に確認しておくことが重要です。
映像制作・動画編集をアウトソースで外注する場合は、以上の各項目について必ず確認してください。
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